ハーブたち |
香りのいい葉っぱたち。
インドネシアのごはんと言うとスパイスたっぷり、なイメージがありますが、
ハーブの印象はそれほど強くないかもしれないですね。
例えばベトナム料理のように香草をふんだん使う料理は確かにあまりなく、
人気のパクチーも、インドネシアではほとんど登場しません(種はスパイスとして使われます)。
インドネシアで使われているハーブ類は、タイやフィリピンのような他の東南アジア地域でも使われていますが、
違いと言えば、インドネシアでは主にスープなどを煮込む際に肉や魚の臭い消しとして使われ、
途中で捨てられてしまう場合が多いこと。ハーブをそのまま口にすることはそれほど多くない気がします。
とはいえ、表だってではなくとも料理の裏方として活用され、あるとないとじゃ大違いなのが、さすがの香草。
使われるものは地域ごとに差がありますが、今回は比較的全国で一般的に使われている種類をご紹介します。
まず、パンダン/Pandanの葉。
パンダンの葉 |
インドネシアに来た人は、
この葉っぱそのものを意識するより先に、その香りに触れることの方が多いかもしれないですね。
ニオイタコノキ、もしくはパンダナスと呼ばれるこの葉っぱ。
東南アジアでは各地で料理、特にお菓子作りに使われています。
そのままではただのしゅっとした葉っぱなのですがが、加熱するとふんわり独特な甘い香りがたちます。
パンダン |
甘いお汁粉や、焼き菓子。あらゆるところで、このパンダンの香りに出会います。
緑色をしたお菓子を見かけたら、まずこのパンダンの色と香りだと思って間違いないかもしれません。
インドネシアではお米を炊くときに使う場合もあります。パンダンの香りの白ご飯。
わたしの中では、インドネシアのイメージととても強く結びついた香りです。
まあ、パンダン自体は道ばたに無造作に植えられているのが常なんですけどね。
パンダン |
続いて、セロリ/Seledri。
セロリ |
日本でスープセロリ/キンサイとして売られている品種と同じだと思います。
茎が細く緑で、葉の香りがとても強いタイプです。
単独で食べられることはほとんどないのですが、
スープなどで香り消しに使ったり、薬味として浮かせたりされます。
ちなみに、わたしは使い切れなかった分をきんぴらにします。ごま油や醤油にも負けない香りなのです。
つづいてクマンギ/Kemangi。
クマンギ |
レモンバジルと呼ばれているもので、その名の通り、レモンに似た爽やかな芳香。
東インドネシアなどの海辺の地域では、魚を使ったスープに入れて生臭さを消します。
西ジャワ地方では、料理の付け合わせのようにして生のままサンバルと一緒に出て来ることでお馴染み。
口の中をすっきりさせてくれます。
このクマンギ、なんとなく1種類ではないのではという気が常にしているのですが、未だによく分かりません。
この上の写真のように、葉に厚みがあって大きくたっぷりしたものもあれば、
うちの庭に生えているクマンギは、もっと葉が小振りで細いのです。
クマンギ |
もしかしたら、単に土の栄養状態の問題なのかもしれませんが。
次は、コブミカンの葉/Daun Jeruk Purut。
コブミカンの葉 |
2枚がつながったような形のが特徴の葉っぱ。柑橘系のとてもいい香りです。
スープのでの臭い消しはもちろん、細く細く刻んで揚げ物の衣に混ぜて風味を出したり、
バリのサンバル・マタ/Sambal Matahにも入っている時があります。
レモングラス |
そしてレモングラス。インドネシア語ではセレイ/Sereiと言います。
根元に近い方を叩いて香りが出やすいようにして使います。
これもやはり、肉などを煮込む際の臭い消しが主な用途ではありますが、
西ジャワ地方のバンドレック/Bandrekという、生姜と椰子砂糖を使った温かくて甘い飲み物にも使われてます。
レモングラスは強いので、この根元の部分をぐさっと土にさしておくと根付きます。
パンダン同様、道ばたにわさわさと生えている場合が多いハーブですね。
そして最後に、サラムの葉/Daun Salam。
サラムの葉 |
英語でサラム・リーフもしくは、インドネシアン・ベイリーフと呼ばれるこの葉っぱ、
用途はやはり主に臭い消し。
他のハーブに比べて、それほど強いわけでも特徴的なわけでもない香りだと思うのですが、
(わたしは、ドクダミの香りに似ていると思うんですけどね)
使うと風味に深みが出る気がします。
煎じたら通風の薬になるとも言われています(民間療法)。
ざざっとインドネシアのハーブをまとめましたが、
例えばスマトラだとカレーの葉とか、ターメリックの葉なども使われるといいますし、
他の地域にもやはりそれぞれ、独特のハーブはあるのだと思います。
その辺りは、また追々、ご紹介しますね。