柑橘類/Jeruk

柑橘類色々 Bandung_West Java, 2016

すだち、かぼす、ゆず。

そんな日本の柑橘類と同じように、
インドネシアにも、その一滴でぐっと料理の味を引き締める柑橘類があります。
インドネシア語で柑橘類の総称は「ジュルック/Jeruk」。
主な用途は「生臭さを消す」こと。なので、肉料理や魚料理の仕上げによく登場します。

まずは、大きなデコボコが目を引くジュルック・プルッ/Jeruk Purut。
味はレモンに似て、けれども果汁がそれほど多くないため香りはレモンよりも弱めの感じ。
日本語でコブミカン、英語だとKaffir Limeと言われるこのジュルック。
ハーブ の記事にも書きましたが、葉っぱを香り出しとして使うことが多い品種です。

コブミカンの葉 Bandung_West Java, 2017

そして、ジュルック・ニピス/Jeruk Nipis。
淡めの緑でなめらかな外皮、中くらいの大きさのこのジュルックは、キーライムのことです。
香りは、いわゆるライムの香り。とても爽やかなグリーンの香りです。
果汁を搾って砂糖を加えたエス・ジュルック・ニピスは暑い気候にぴったりの清涼感。
炭火焼きの海魚にきゅっと絞って食べるのも、もうたまらない美味しさ。
そして、この焼き茄子のサンバル や、ジャグン・ボセ に添えたサンバルなどもそうですが、
ニピスの軽やかで爽やかな香りは、東ヌサトゥンガラあたりのシンプルな料理にもよく合います。

シンプルサンバル Bandung_West Java, 2017

続いて、ジュルック・リモ/Jeruk Limo。
若いうちは濃い緑、熟れると黄色みを帯びてくる、
小振りで、ざらっとした外皮が特徴のこのジュルックは、呼び名が色々あります。
私が住むバンドンを含む西ジャワ地方やその他のジャワ地域ではリモですが、
ジャカルタにあたるブタウィではジュルック・サンバル/Jeruk Sambal、
北スマトラ辺りのムラユ圏ではジュルック・リマウ/Jeruk Limauと呼ばれているそうです。
もっとカジュアルにはジュルック・サテ/Jeruk Sateと言われる場合も。
サンバルだったりサテだったり、その呼称からも分かる通り、多種の料理において活躍するジュルックで、
酸味はそれほど強くないのですが、濃いグリーンの香りが特徴です。
トラシ(魚の発酵調味料)を使ったサンバルに使っても、その匂いに負けないはっきりとした香りなのです。
なので臭み消しとして、肉を使ったスープやサテを食べる直前に絞ってたり、
練り物を使う「シオマイ」というピーナッツソースをかけた蒸し料理に添えられたりします。

ニピスとリモ Bandung_West Java, 2017

そして最後に、レモン・チュイ/Lemon Cui。
これがまた、呼称が色々ありすぎて混乱するのですが、どうやら同一のジュルックを、
ムラユ圏ではジュルック・カストゥリ/Jeruk Kasturi、
カリマンタンではジュルック・ソンキッ/Jeruk Songkit、
北スラウェシではリマウ・カチャウ/Limau Kacau、
フィリピンでカラマンシー/Kalamansi(Calamansi)と呼んでいるようですね。
その中でも、みかんのようなオレンジ色に熟れるのは華人たちが縁起物として重用する品種、
一般的に料理に使われるのは、緑からオレンジのグラデーションのある品種になります。
酸味の強いみかんのような味のレモン・チュイ。
果汁がたっぷりあるので、絞ってジュースのようにすることも多いです。
このジュルックは、北スラウェシのマナドで使った印象が強く残っていて、
ヘタの辺りだけを切り落としたジュルックを渡されて、焼き魚にたっぷり果汁を搾った記憶があります。
また、マナドといえば、のサンバル「ダブダブ」(サルサソースに似ています)にもよく使われているとか。

柑橘類色々 Bandung_West Java, 2016

ということで、左から、
リモ(若いもの)、レモン・チュイ、リモ(熟れたもの)、ニピス、プルッ。

西ジャワあたりでみかけるのは、緑のリモとニピスがほとんどです(別途レモンはありますが)。
ああ、柑橘類のことを書いていたら、なんだか爽やかな気分になってきましたよ(笑)。


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