バンガイ諸島の食卓⑤

パパイヤの花とサユール・パク炒め Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

バンガイ諸島のお母さんたちのごはん、今日はささっと野菜料理について。
町のお母さんの台所にもどります。

日頃ジャワ島の中でも、恐らくインドネシア全国でみても、有数の野菜産地のひとつに近い街に住んでいるため、
地元の市場を見慣れると、離島の市場はどうしても野菜のバリエーションが少ない印象を受けます。

バンガイ島の市場 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

土質の影響は当然大きく、
火山性の豊かな土壌に森の腐葉土、標高も程よく高いため湿潤かつ暑すぎない気候のこの辺りと、
石灰質の土壌の上に堆積した腐葉土のみの気温が上がりやすい島では、条件が全く異なるんですよね。
それでもバンガイ諸島でも大きめの島には畑などもあり、芋類などの作付けも行われていますし、
訪れたのが雨季であったこともあって、葉野菜などを見かけることは出来ました。

そして、中にはジャワの辺りでは見かけないような野菜もあったり。

そんな野菜のひとつ、サユール・リリン/Sayur Lilin。
マルク地方などインドネシア東部で食べられている花野菜だそうで、わたしは初めて目にしました。

サユール・リリン Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

これを2束買って、お母さんの家に。

サユール・リリン Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

葉の中に包まれいる、この若い穂の部分を食べるのです。

サユール・リリン Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

咲いたらどんな風になるのかなあ、と思いつつむきむき。

これを一口大に切ったら水につけておきます。
「茄子とかと一緒」とお母さんは言うので、アクで黒ずんでしまうのを防ぐためなのかな。

サユール・リリン Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

使うブンブはいつも通り、唐辛子、バワンメラ、ニンニク、塩で、レモングラスも追加。
水適量を加えて蓋をし、蒸し煮のようにします。

程よく火が通ったあたりでココナッツミルクを。

サユール・リリンのココナッツ煮込み Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

このお母さんは、産まれも育ちもバンガイのブギス(南スラウェシの民族)人。
曰く、この辺りでは9割くらいの料理はココナッツミルクを使うのよ、だそうです。
バンガイが、なのか、ブギス人が、なのかはちょっと定かではないのですが。
とは言え、こってりした感じはあまりなく、さらっと仕上がってる印象です。

ということで、サユール・リリンのココナッツ煮込みの出来上がり。

サユール・リリンのココナッツ煮込み Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

ほろほろと崩れる食感で、そのものはクセのない味。
その分、レモングラスを効かせて爽やかに仕上げたスープがよく染み込んで美味しかったです。

サユール・リリンはこういう煮込みが多いようですが、フライにして食べても美味しいとも聞きました。

もう一品の野菜は、サユール・パク/Sayur Pakuと言われる、シダ野菜。

サユール・パク Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

ゼンマイが成長した、みたいな感じですね。
パクは「釘」という意味なので、まあ訳すなら「釘菜」みたいな感じなのかもしれませんが、
正式な名前はわかりませんでした。

この葉の筋が硬くなっている部分を除いて刻み、パパイヤの花と炒めたのが1枚目の写真です。

これ意外の野菜と言うと、空芯菜、芋の葉、長豆(ジュウロクササゲ)などが緑の野菜で、
後は、ブンブで使うトマトや、大きく育ったキュウリなどを目にしました。

次回は、野菜とはまた少し違う扱いになる芋類についてご紹介しますね。




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