バンガイ諸島のおやつ

パナダ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

バンガイ諸島のおしまいに、ちょっとおまけのおやつをいくつか。

芋やバナナを揚げたものも立派なおやつですが、その他に、まず写真のパナダ/Panada。
町のお母さんのお姉さん(隣に住んでる)が作って売っているものです。
スラウェシ各地でよく食べられているものらしく、特に沿岸部では魚を使います。

パナダ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

外がカリッと揚がったふかふかで微かに甘いパンの中に、魚のフレークが入っているのです。
お母さんのところで、たっぷりお昼を食べた直後だったので、最初は、
「揚げ物かー、重いなー、食べられるかなー」などと内心思っていたのですが、杞憂で(笑)。
この断面見ただけて、カリッとふかふかを思い出して、ほっぺたの内側がきゅーってなります。

もうひとつ、魚のフレークを具にした揚げ物を。

カンジョリ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

カンジョリ/Kanjoliと呼ばれるこの揚げ菓子、島を移動する船の中で、行商のおばちゃんから買ったものです。
このバンガイ地域の名物らしく、
いつかの独立記念日か何かのイベントで一斉に大量にタンジョリを作り、国内記録を樹立、とかやったそうで。
国内記録と言っても、バンガイの郷土菓子なので、バンガイの記録=国内最高記録なんだと思うんですけどね。

カンジョリ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

小さな俵型のこのカンジョリ、キャッサバの皮で魚のフレークを包んで揚げたものなのです。
キャッサバの澱粉質のお陰でもちもち。
これを、唐辛子と塩だけで作ったシンプルなダブダブ(サンバル)につけて食べるのですが、
止まらない、止まらない。揚げ物なのに、本当に危険なものばかり。
カンジョリは、その美味しさに、戻って来てから試しに作ってみたりしています。

そしてもうひとつ、さらにまた揚げ物なのですが、村のお母さんの手作りドーナツ。

アポロドーナツ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

アポロ、とお父さんは言っていました。Apoloかもしれません。

発酵ドーナツかなと思わせる、弾力のある生地に絡めてあるのは、椰子砂糖。
素朴な甘さと、しっかりとした食べ応えで、朝ごはんに熱いお茶と一緒にいただくと最高。
このドーナツを、お母さんは自家製のココナッツオイルで揚げているのです。
インドネシアで一般的に揚げ油として市販されているのは、パームオイルがほとんどなのですが、
お母さんは、パームは油の後味がよくないからと、揚げ物にはココナッツオイルを使うのだそうです。
お陰で、胃にもたれることなく「もう一つ…」と食べられます(そればっかり)。

ということで、中部スラウェシのバンガイ諸島でお世話になったお母さんたちのごはんでした。

キッチン Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

そもそもこのバンガイ諸島というのは、事前に情報がほとんど見つからなかった地域なのです。
ガイドブックには載ってない、
インターネットで検索しても、英/インドネシア/日本いずれの言語でも漠然とした情報しか出てこない、
仕方ないので、現地に行って聞きながら旅をしようか、という具合で始まったのでした。
最寄りの街の空港に着いた段階では、具体的な地名ひとつ知らず、
港で船の時間を聞くにしても「どこに行くんだ?」と問われ「どこに行けるの?」と答える始末。

鮮魚 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

そんな中で、出会ったひとから少しずつ情報をもらって、目指すべき島の目星をつけていった感じでした。

バンガイ島に着いて、島内を回りたいと流しのバイクタクシーのおじさんを宿の前で呼び止めたのが始まり。
おじさんがお使いものを届けに一旦家に戻った際に会った奥さんに、料理を教えてもらうことになり、
それが「町のお母さん」。
そのお母さんと市場に魚を買いにいった際、偶然に行き会った義理の家族というおじさんが、
「バンクルンという島の村におれの姉さんがいるから行ってみろ」と勧めてくれて、
携帯の電波すら届かないその村を(なので当然何の連絡も入れず)訪れて泊めてもらったのが、
「漁村のお母さん」の家でした。

唐辛子 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

行き当たりばったり、流れに身を任せる感じで、縁がつながり出会えたお母さんたちのキッチンでした。

昨日も、町のお母さんから電話がかかって来ました。
「また来なさいねー、一緒にまたオニョッ(パペダ)食べようねー」と。
きっと、お母さんたちは、ことあるごとに、
「日本人に料理教えたのよ」「オニョッ作ってあげたのよ」と、ひとに語って聞かせているのだと思います。
微笑ましく、愛すべき、お母さんたち。

島猫 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

食べ残したものもまだまだあります。いつかまた、お母さんたちに会いに、島に戻りたいなと思っています。

ということで、バンガイ諸島の食卓はここまで。
長々おつきあいありがとうございました。
町のお母さん、村のお母さん、美味しいごはんをお腹いっぱい、ごちそうさまでした。


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